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見たくなくても目に飛び込んできてしまうすなわち漫然と「見える」のではなく「見せる」ようにする工夫が必要だと述べている。
第3章の「『よい見える化』を実現するために」では、効果的な「見える化」のための10のポイントを列挙している。なかでも「『見せたくないもの』『見せられないもの』ほど『見える化』する」という指摘は的を射ている。
昨今、注目を集めている内部統制の強化というテーマでも不具合やクレームのような他部門や経営者にあまり見られたくない情報をオープンすることが、業務活動の透明性を高めることが重要とされている。
本書で示された「見える化」のアイデアには、かつての強い日本を作り上げた製造業の改善や現場の知恵から生み出されたものが多く含まれている。そして、 これらのアイデアは、製造業のみならずあらゆる業種で参考になるものであり、強い日本を取り戻すヒントがそこにあるのではないだろうか。
いや、あまりメジャーになっていないという表現は、作者に少々失礼かもしれない。というのも、この小説、1999年の日本推理作家協会賞を受賞した名作なのだから。しかも、その年の受賞を争ったのが、東野圭吾の『秘密』だというので、まだ知らない方は期待してもらっても大丈夫だと思う。それが、香納諒一氏の『幻の女』である。
主人公の栖本誠次は、30歳代半ばを過ぎようとしている弁護士。かつては一流の弁護士事務所に勤務するエリートだったが、ある事件がきっかけで挫折を経験し、同時に離婚も経験して、今では個人の弁護士事務所をほそぼそと開業している。
その彼が、裁判所からの帰り道で偶然、5年前に別れた女性、小林瞭子とすれ違う。別れたというのは正確ではないかもしれない。彼女は5年前、突然、彼の目の前から理由も告げずに消えたからだ。そしてその翌日、彼女は死体で発見される。しかも、殺される直前、彼の事務所の電話には、彼女から「弁護 を引き受けてもらいたいことがあるの」という留守電が残されていた。
彼女にいったい何が起きたのか? かつての恋人の死の背景を探り始めた栖本は、やがて彼が知っていた女性は実在した小林瞭子とは別人であることに気づく。
では、いったい彼女は誰だったのか。彼女は死ぬ前に、何を栖本に依頼しようとしたのか──それらの謎を軸に物語は展開する。
目の前から突然消えた女性が、実は実在しない女性だったという設定は、宮部みゆきの『火車』と似ていると感じられる方もいるだろう。この2作品とも、僕は名作だと思う。
ただ、『火車』が別人にならざるをえなかった女性の、尋常ならざる悲しい運命を軸に置いているのに対して、本書『幻の女』では、消えてしまった女性を追い求める、オヤジといってもいい年齢の男のやりどころのない気持ちに焦点を当てている作品だといえる。
主人公の栖本には、父親との間にかつて起きた出来事、大きな挫折を味わった裁判、そして自分の前から消えた小林瞭子──この3つの出来事が心にキ ズとして引っ掛かったまま生きている。だからこそ、それらの出来事にケリをつけなければならない。その主人公の葛藤に、いつしか強い共感を覚えるように る。
700ページにもわたる長編の最後の10ページ、もうこの小説もすべて終わったのかな?と思ったところで欠けていた最後の1ピースが突如現れる。そして、その最後のピースを目にするときに、人は幻の女と主人公の互いの気持ちを想って涙するかもしれない。
そして、それよりも難しいこと。それは「人がやっていないことは何かを見つけること」だと思います。誰もがやっていないこと、常識とは思えないこと、これらを探し出し、実行された方が、恐らく今回、ご紹介したお二人の社長なのだと
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