ベンチャー企業社長の挑戦、そして苦闘

 サン・アクト株式会社は京都で、環境や緑化だけでなく、
深く多様な衣食住空間をできる限り発信することを目指す企業です。
 ベンチャー企業社長である、私自身が語る挑戦と苦闘の日々。
また、妻と5人の子供達の歩み、そして様々な方へ、私なりの思いをこのブログで発信続けていきます。
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違った鍵を組み合わせることでビジネスモデルが生まれる



なぜか保険代理店をしていた我々

 我々は、「衰退した樹木を環境に配慮した技術を使って活性化する」という事業を根幹としている。もちろん、それだけでなく、樹木の診断・景観管理・造園・緑化資材の販売などで売上のポートフォリオを分散させている。
 しかし、一見すれば「造園業」の分野に属すると世間の方々は思われる。その通りかもしれない。ただ、一年ほど前まで数年間、保険代理店をやっていた。なぜ造園業が保険代理店をするのか?

 大手損保の方にあることで出会ったのが数年前。その後、何度かお話を聞いているうちに「火災保険」が適切に活用されていない事例が多いと聞いた。自分では保険が適用されると思っていたのが、いざ、火災が発生し、保険金を請求しても、すべて支払いがなされるとは限らないことが多々あるとのこと。詳細な理由はここでは書くことはできないが、少なくとも損保側に不備は無いことだけは言明しておく。
 その話を聞いて、我々のターゲット・お客様である「寺院・神社」などにも、「火災保険の見直し」というニーズがあるのではと私は考え、代理店になった。

 それなりの資格を持たなければ保険を販売することはできない。一部の社員に資格をとってもらったが、直接、お客様と相対する営業スタッフ全員が保険の資格をとることは難しく、せっかくの代理店業務は残念ながら、成功とは言えなかった。
 しかし、結果はどうであれ、大手損保の方の話を聞き、「火災保険の見直し」という潜在的ニーズが顧客にあると考え、保険代理店になったことは、今でも間違いでは無かったと考えている。

 「火災保険の見直し」という考えもしなかった「鍵」が我々のお客様に対してもニーズがあるということを「保険代理店業務」という形で組み合わせたことで、我々のお客様と新たな接点が生まれたとも言えるだろう。

弱みを補完する事業を確立させる重要性

 先に述べたように我々の根幹事業は、衰退した樹木を活性化させること。人間でも病気になれば手術前に入院し、手術後、数日経って、退院、そして料金を支払う。樹木の活性化・樹勢回復事業も同じで、年に数回の治療を行い、その都度、お客様からお金を頂戴する。

 人間ならば「退院」、樹木ならば「衰退した状態からの回復」という「結果」に対して、お客様からお金を頂戴する。ただ、樹木活性化・樹勢回復というものには最低でも一年を要し、かつサクラが満開の時や真夏などに治療はできない。よって売上に季節変動が生じると共にすべての資金回収に一年を要するという弱みがあった。
 そこで、季節に関係なく、そして短時間でできるものとして考え出したものが「非破壊樹木診断」だ。最新の診断装置を購入し、下記の画像のように弾性波というものを利用し、樹木内部を瞬時に画像化できる。台風や地震などの気象災害の予防策として「倒木の危険性の判定」などに活用できるだけでなく、貴重な樹木の内部を把握できる。現在、近畿圏では我々のみがこの装置を持っており、独占的なマーケットとなっている。



 人間の医者の場合でも「肺」に問題があるのか、「胃」に問題があるのかを判断してから適切な部位にレントゲンやCTスキャンを行う。樹木も同様で、幹内部のどの部分、例えば根元なのか、枝分かれしているところなのかなど、画像診断を行う場所が重要となる。この点において、活性化作業で蓄積されたノウハウが活きてくる。

 売上の季節変動を補完するための鍵が「非破壊画像診断装置」。その「鍵」と「蓄積された樹木活性化のノウハウ」が確実に合致し、新たなビジネスモデルを構築することができた。

発想の転換で同じことでも価値は変わる

 樹木活性化事業は、樹木が「衰退した状態から回復すること」に価値を見出し、お客様からその対価を頂戴している。しかし、「通常では体験できない活性化作業を体験してもらうこと」に価値を見出してもらうことも可能ではないかと考えた。

 具体的には、小学校や保育園など教育現場に必ずといって良いほど植えられている「サクラ」を通じて「活性化作業を親子で体験していただく」という環境教育イベント事業だ。
 しかし、環境教育事業にも問題点があった。「親子」という参加者に多額の参加費を請求することはできないということ。参加者30名としても活性化作業を伴うため、何万円も負担していただければならない。この点は環境教育事業を考えた段階で、大きな課題となっていた。

 そこで、当時、我々の事業に賛同、協力していただいた大学の先生方と設立していた「環境緑化21世紀研究会」という団体を、NPOへ転換させることにまず着手した。しかし、NPO認証まで半年は必要となる。その半年の間、「サクラを通じた親子での環境教育」に参加しませんかと、大手企業に営業を行った。
 そして、無事にNPOが認証された約1ヶ月後に、実際にイベントを実施した。大手企業が協賛金としてNPOに寄付するかわりに、大手企業の工場などの周辺にある教育現場で、地元の親子と企業社員が共にサクラの活性化作業を体験するというスキームだ。


(土壌改良用の活性化資材を入れている子供たち:写真掲載許諾済み)

 NPOの理事である環境教育の専門家がイベントプログラムの構築、実際の運営を行い、我々は実際のサクラの活性化作業の事前準備やイベント当日の作業補助、活性化資材の提供などを行う。
 通常ではあり得ないサクラの活性化作業を親子だけでなく企業社員と共に汗を流しながら体験するという形態は、最終的には参加者である親子が協賛企業にとってのロイヤルカスタマーになる可能性がある。そして数十年は咲き続けるサクラという特性は、毎年、参加者と企業社員が花見会を開催するなど、消費者への新しいコミュニケーションツールにも成り得る。

 「NPOという協賛金の受け皿」、「ロイヤルカスタマーとしてのメリット」といった「鍵」と、「我々の活性化技術」という既に持っている鍵が合体し、受益者(=参加者)の負担がゼロであり、かつ大手企業がNPOの活動に協力するという環境教育推進法という法にも合致した新しい形態の「環境教育イベント」ができあがった。

 回復に価値を見出すのではなく、体験に価値を見出すという発想の転換、そして我々が持つ鍵と様々な他の鍵を組み合わせた結果、できあがったモデルといえるだろう。

違った鍵、様々な鍵を見つけ、組み合わせることで、ビジネスモデルが確立する

 今まで述べてきたように、我々自身が既に持っている「鍵」がある。「コア・コンピタンス」といってもいいだろう。ただ、我々自身が持つことができる鍵には限界がある。
 よって、できる限り、多くの人と出会い、多くの情報を得ることで、我々自身が持っていない、持つことができない「鍵」を探し出す。そして、多くの方々の協力と共に、多様な鍵を様々な形に組み合わせ、試行錯誤し、最高の組み合わせ方を見つける。

 これがビジネスモデルの一つの構築方法ではないかと私は考える。

 まずは誰にも負けない自分自身の「鍵」を確固たるものとすることが先決だ。さらに、良質な「鍵」を見つける眼を持つこと。最も重要なことは、様々な鍵の組み合わせ方を考える力。これらすべてが合致して、やっと誰も真似することができない「ビジネスモデル」が生まれるのではないかと私は思う。

 今も、お蔭様で多くの鍵を皆様から、頂戴している。

 それらの鍵をどうやって組み合わせるか、難しく苦しいものだが、成功した時の充実感には素晴らしいものがある。

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2007.07.27 Friday | 経営的視点 | comments(0) | trackbacks(0)

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